こんにちは
指定難病アトピー性脊髄炎ブログを秘かに続けるそれなぁんです。
これでも神経難病を患っているのですが、まず初見で見破られることはないです。
ヘルプマークを着けているから何となく病人であることは分かるようだが…
ともかくそれくらい普通に過ごせてるということで、まだ制御は出来ているという風に言えるだろうか。
そんな神経の病気というのは何かと厄介な部分が多く、神経が犯される病の多くは指定難病に認定されていたりします。
まだ傷付いた神経を治す再生医療も発達してないのでそこも関係が深いのではと思います。
仮に再生できても原因が究明できなければ繰り返すだけでしょうし、まだこの分野には希望は持てませんね。
一度壊れたら取り返しが付かない物は何か?
そう聞かれたら私は無難に神経と答えます。
私も難病になり4年目を迎えているが、自分の身体の事は全然分かりません。
「自分の身体の事は自分が一番分かる」
よく言われるが例外もあるもんです。
自分の病気についても何故こうなっているのか、こんなに動けているのか?
自分の身体の事だけど誰かに問いかけたい気持ちです。
でもそれに答えられる人物はおそらくほぼいないでしょうか。
分からないからこそ「難病」なのですから、当たり前です。
さて、今回は難病の中では比較的知名度が高いと思われる「ALS」についての話題です。
一時期よく耳にした病気ですかね。
最近だとニャンちゅうの声優さんが闘病しているという話もありましたし、亡くなられたホーキング博士もALSの理論物理学研究者として話題になりました。
あとは数年前アイスバケツチャレンジとかもありましたね!
三浦春馬主演でドラマとかもやってたのを思い出しました。
今考えると本当に謎の流れだったな~と思います。
一体何だったんだあのチャレンジは?
個人的に理解できなかった世間の流れです。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)という神経難病
指定難病の番号は2番です!
もうそれだけで難病界の大先輩感が出てます。
ALSという単語は聞いたことがあるという人は結構多いと思います。
まさに世間の難病という言葉のイメージにぴったりな部分が多いかなという印象があります。
治療法もないし、なったら基本数年後には死ぬ病気です。
私の病気も難病なのに、まるで大違いです。
そんな筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)とはどんな病気か?
簡単に言うならば筋肉がどんどんやせて動けなくなる病気です。
けど筋肉そのものではなく神経の病気です。
運動ニューロンがやられる神経変性疾患の部類だったかと思います。
筋肉というと手足は勿論だが、舌や喉の筋肉だったり生命活動に必須な呼吸もやられるので致死性の神経難病であるということですね。
患者数も意外と多いみたいで、特定医療費受給者数だけで見ても令和元年で約9800人程度です。
意外と多いんだな…
遺伝子の異常とか家族性のALSとか研究は進められているようですが、やはり根治までの道のりはまだまだ遠そうです。
ちなみに6/21はALSの日だったらしいね~?
そんなALSに関してとある文献をたまたま目にしたのでそれを紹介したいと思います。
「 国内筋ジストロフィー専門入院施設における筋萎縮性側索硬化症医療の変遷と死因 1999~2013 年」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/advpub/0/advpub_cn-001536/_pdf
参考文献はこちら
今回紹介する文献は筋ジストロフィーの専門施設に入院している患者の経過についてです。
1999年から2013年までの間の入院例や年齢、性別、診断名、病状、死亡例、死亡原因を細かく調査された結果について載っています。
筋ジストロフィーの専門施設と言えどその内を占めるALSの割合も大きいということで、今回のデータでALSの経過についてある程度は知ることができるということですかね?
私は触りの部分しか紹介しないので細かく見たい人は是非上のリンクから文献を覗いてみて下さい。
この図は入院患者数や年齢、平均年齢をまとめたものです。
縦軸は平均年齢と患者数で横軸が年代ですね。
年齢層ごとに区分けされてます。
1999年は29人だったALS患者は2013年には164人ということで毎年ごとに増えていっているのが分かります。
最近の傾向だと、難病患者は時が経つにつれて増えていってるんですよね。
ALSもその流れでしょうか?
平均年齢も約10歳程高くなっていますね。
ALS自体も発症年齢は高めだったかと思いますが、この明らかな高まりは高齢社会の影響なのか?
それとも治療予後が良くなっていることによる高まりなのか?
死なないに越したことはないが、予後が悪い状態で生き続けることも良いことではありません。
この辺は人各々で価値観が変わると思うので難しい部分でもあります。
こちらは患者の呼吸状態の経過についての図です。
ALS患者は人工呼吸をしないといけない人が多いのですが、この図からもそれが読み取れます。
気管切開下人工呼吸療法(TIV)の人は1999年では68.9%に
対し、2013年では92.7%となっています。
患者のほぼ全員が人工呼吸療法に頼っているという形になってますね。
進行すれば自発呼吸が難しい病気であるというのは今も昔も変わらず…でしょうか。
そしてこちらの図は患者の栄養管理方法についてまとめたものです。
一人で複数の方法を取る人もいるので、全体数は多くなっているのに注意です。
普通ならば勿論経口摂取という形でエネルギーを摂るが、重症で人工呼吸器を付けたりしていれば勿論そんなことはできません。
そういう人達はどうするのか?
「胃痩(いろう)」という簡単に言えばお腹を切ってそこから管を通して胃に養分や水分を送る措置を取ることが多いとのこと。
年が経過するごとに胃痩栄養の件数が増加しています。
経口摂取率は1999年には41.4%だったが、2013年には10.4%と低下傾向にあるということです。
単純に見れば重症化している人が増えているという風に考えられますね。
こちらの表は死因をまとめたものです。
2000年から2013年の間に死亡した患者数は118人となっています。
その内自発呼吸患者が30例、非侵襲的人工呼吸療法(NIV)が6例、TIVは82例となっています。
NIVも呼吸補助の一つです。
最も多かったのが呼吸不全や呼吸器感染症によるものだが、心不全や腎不全、悪性腫瘍の例もあり死因は様々だったようです。
死亡時の平均年齢以下のようになってます。
- 自発呼吸 64.6±14.2歳
- NIV 61.4±18.9歳
- TIV 69.9±10.4歳
そしてそれぞれの傾向としては自発呼吸やNIVでは呼吸不全が死因となることが多いのに対し、TIVでは気道感染症を始め多くの死因がありました。
ALSの厄介な部分として人工呼吸器を使ったとしてもその関係による呼吸器系の感染症によって亡くなるというパターンがあることです。
人工呼吸器を使わざるを得ないにしても、それでとりあえず安定するかというとそうでもないようですね。
本当に難しい病気であると少し調べてみても思いました。
けど死亡時の平均年齢はやはり人工呼吸療法の患者の方が高いという結果になっています。
それは確かに当然かなと思います。
おわりに
この文献で述べられているのは、死因は呼吸状態で明らかに分かれていること。
ALS患者は年々増加傾向であり、重症者の割合も増えているということです。
内容を読む限り、平均死亡年齢は高くなってはいるが予後が明らかに良くなっているという風には読めません。
これはALS治療の進歩はそんなにしていないと読み取ることもできるのではないでしょうか。
今の難病法が制定される前から特定疾患として昔から医療費の補助や研究が進められているのにこの状態です。
これを見ると、自分の病気に良い展開があるわけはないと思わざるを得ません。
というのも名前が付けられたという意味では自分よりも年下の病気であり、しかも患者数がはるかに少ない。
そうなれば研究も進むわけがないんですよね。
本当に厄介なお荷物を背負わされたと思います。
ということで今回はALSについての文献を一つ紹介させてもらいましたが、自分の病気についてどんな展開をみせているか?
それは普通にネットで検索するだけでは中々出てこないものです。
Google Scholarで調べてみると、色々面白いことも分かるのでオススメしておきます。
ではまた